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Twice Again

Author:Twice Again
えと、どうもTwiceAgainです。
始めましての方も、そうでない方もどうぞまったりゆったりしていってください。小説の毎日更新は出来ませんが、マイペースにやっていきたいと思います。僕の二次創作は暇つぶし程度にどうぞ。感想やご指摘は歓迎します。
では、どうぞごゆるりと……。


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 転校してから早一週間。俺は先日のお礼を兼ねて翠屋に向かった。
 桃子さんに挨拶をして、長寿軒で買った栗饅頭とドラ焼きを渡す。
 
 「あら、これは長寿軒の……高いのに、どうもありがとうね、渚沙君」
 「いえ、シュークリームとケーキ、美味しかったです」
 「ふふ、そう言ってもらえると作った甲斐があったわ♪」




 嬉しげに笑う桃子さんは、とても〇0代だとは思えなかった。

 「ちょうどなのはとすずかちゃんがいるからゆっくりしていってね」
 
 ということなので、2人のとこに向かった。これから月村の家(やはり場所は知らない)のところへ向かおうとしていたのでちょうど良かった。昨日買った栗饅頭とドラ焼きを渡す。

 「あ、ありがとうね、夢見君……」
 「?」

 何故か顔の赤い月村。むぅ……わからん。

 「これ長寿軒の? ねえ! なのはの分は!?」
 「桃子さんに渡してあるから、きちんとあるよ」
 「わーい、ありがとう夢見君!」

 俺がそういうと、桃子さんの方へ明るく走って行った。
 まるで、小学生のように大喜びをする高町。な~んか、本当に小学生じゃないかと思う。
 授業をきちんと理解して受けているところを見ると、高校生なんだろうとは思うけど……


 何処かに、違和感を感じる。


 気のせいなのかな……と考えていると、肩をポンと叩かれた。
 
 「なのはの父の高町士郎です。なのはとは一緒のクラスなんだって?」
 「は、初めまして」
 「初めましてじゃ、ないんだよ、渚沙君」
 「えっ? と、言いますと……」
 「実はね、君のご両親がね、君を連れて一度だけウチに来てくれたんだよ。その時はまだ君も小さかったから覚えてはいないだろうけど」
 「す、すいません……」
 「謝ることじゃないよ。寧ろ、覚えていた方が凄いことだからね」
 「そうですね。高町とは仲良くさせてもらってます」
 「うん。あの娘は優しいから、きっと良い思い出が作れると思うよ。なのはの事を、よろしく頼む」
 「……はい」

 よろしく頼む。
 その言葉に、まるで真剣のような、研ぎ澄まされた感情が思っているように感じた。



















 その後、何故か高町の兄さんのところへ行くことになった俺と高町と月村。はっきりと言うと居心地が悪い事この上ないが、仕方ないといえよう。なにせ、翠屋で先ほどまで(数時間程度、晩御飯込み)世話になったのだ。恩は早めに返すよう心がけている。別に喘息気味になったりはしないが。
 だが、一つだけ疑問がある。それは数時間過ごした中で、どうやら2時間程度の記憶が無くなってしまっている。
 直前の記憶としては、高町の姉さんの料理を食った後だろう。あれは、多分毒物の一種だ……。

 高町は高町の兄さんに、月村は月村の姉さんに用があるらしく、少しばかり暗くなってきたので、俺が付き添うことになった。
 高町の兄さん(恭也さん)と月村の姉さん(忍さん)は去年の6月に入籍し、今は海鳴に一軒家を建てて生活をしているようだ。



 と、いうことで太陽が傾き始めて少しばかり暗くなった道を3人で歩いている。元より今日は曇り空でどんよりとしていた。その状態では太陽の有無によってかなりの速さで暗くなるだろう。
 ……しかし、この2人には危機感、或いは貞操観念というものはあるのだろうか。少しばかり顔のベクトルが女の方に向いているとはいえ、仮にも、俺は男で2人よりも身長も大きい。一般的な男子高校生の平均身長は余裕で上回っている。そんなやつと歩いていて、多少なりとも怖いと感じないのだろうか。 
 出会ってまだ1週間。いくら桃子さんに気に入られているといっても、俺はそんな聖人みたいな善の塊ではない。自分の中の善と悪の判断は下せるものの、一時の気の迷い、まあぶっちゃけ性欲が暴走するということも無きにしに非ずなのだから。
 あれだよ、2人とも結構発育(どこの、なんて無粋なツッコミはしないでほしい)よろしく、大変魅力的なのである。特に、月村のは、すんげえよ。ラッキースケベというものがあるのなら、それが発動してくれることを切に思う。
 高町は、この夜道が怖いのだろうか、少しのの物音にも敏感で、何かの音がなる度にビクッとなり、なんか小動物を見て癒されるというものがある。

 まあ、どれだけ言葉を並べようと2人に本心を聞いてみないことには、俺の心は落ち着かない。

 「月村、俺が付き添って良かったのか?」
 「私は気にしないよ。ね、なのはちゃん」
 「う、うん。なのはも、別に夢見君だったらいいかな……」

 
 高町嬢、それはちょっとばかし危険な発言でござるよ。


 …………。


 いけない、上原の語尾が移った。

 「桃子さんの気に入った人だからね、夢見君は」
 「お母さんは見る目があるからね」
 「なんていうか、凄い信頼だな」
 「当然だよ。小学校のころから、ずっとお世話になってるから」
 「アリサちゃんとはやてちゃんもだよね!」

 どうやら高町は元気を取り戻したようだ。しかし、桃子さんというのはここら一体を取り締まってでもいるのだろうか。見た目優しくて綺麗な人だったんだが。

 「もうすぐ着くから。そういえば、さっきの質問のことだけど……」

 月村は、ずいっと顔を近づける。

 「何かを、期待でもしてたのかな?」
 「……と、申しますと?」
 「ふふ。夢見君って結構顔に出やすいからね……本当は、男の子の夢見君が、暗がりの道を、しかも誰もいない道で女の子と一緒に歩いていいのかって言いたかったんでしょ?」
 「ご、ご名答です……」
 
 クスクス、と笑い月村は離れていく。

 「なのはちゃんは自覚がないみたいだけどね。ほら、やっぱり男の子って、狼になっちゃったりして、食べられちゃうのかな? 私達って告白とかされること多いから、客観的に見ると、可愛いって事だし」
 「どっちか言うと、月村は美人って感じだな。花で言うなら、月下美人、みたいな? なんか月って苗字に入ってるから連想するけど、確かに月村は、月が似合いそうだ。それこそ、吸血鬼みたいにさ、なんか……ちょっと不思議で幻想的なイメージがあるよ」
 
 言う本音と、言わない本音の2つ。
 心の中でこっそりと思う。簡潔にいうとエロい。狼になんてすぐなれちゃうぐらい。
 少しばかり、月村は眼を見開く。それが、何を意味しているのか、俺はわからなかった。

 「ありがと、褒めてくれて。実はね、周りのみんなが綺麗で可愛いから、私少し自分に自信なかったんだ。私は少し、地味だし、趣味だって機械弄りとか女の子らしいものじゃないし……趣味だけを見るなら、夢見君の方がよっぽど女の子らしいよ」
 「それは褒め言葉なのか、それとも貶しているのかよくわからんが、褒め言葉として受け取っておく」

 そうしないと、俺の精神衛生上悪いんだ。ただでさえ名前のせいで女の子呼ばわりされることがあるのに。あとちょっとだけ顔が男よりなら、大丈夫だったのにな……。

 「そうしといてね。ところで、なのはちゃんの貞操観念について、興味は?」
 「やれやれ……」

 まるで月村はわかっていない、とそんな風に言いたげに見えるほど大げさにオーバーなリアクションを取る。






















 「――ありまくるだろう」
 「今私の中で、君ははやてちゃんに近づいたよ」

 しかし、その質問をするということは、その結果を知っているということだろう。月村も結構なもんだ。

 「なのはちゃん、赤ちゃんって、どこから生まれるか知ってる?」
 「えっ? コウノトリさんが運んでくるんじゃないの?」
 「ほらね」
 「何がほらね、だ。ある意味末恐ろしいぜ」

 確か転校初日に、今だにコウノトリを信じているんじゃないかと疑ったが、まさかtrueだったとは……。
 私ともあろう者が、興奮してまいりました……!

 「これ、はやてちゃんのせいなんだよ。中学校の時にね、はやてちゃんが嘘をついてね……」
 「こうなった、と……Brilliant! 八神、GJだ」
 「え? コウノトリさんが運んでくるんじゃないの……?」

 ……しかし、なんだ。その、このやり場のない興奮はどうすればいいんだ……。
 どうもさっきから黒い考えばかりが浮かんでくる。

 「(本当のことを教えてあげればええんや……それも、実戦でな……きっと泣き叫ぶなのはちゃんやでぇ……可愛いでぇ……そんなか弱い乙女を……あんたは乱暴に犯すんや……さぞかし楽しいやろうなぁ……この変態……ついでに孕ませたったら……犯罪者のレッテルか……もう責任取るしかないけどな……けどなのはちゃんみたいな可愛い娘やったら本望やろぅ……)」

 「あれ? はやてちゃん。どうしたの?」
 「アリサちゃんと遊んどって、そろそろ帰ってことになってな。こんな狭い道をアリサちゃんの黒塗りリムジンが通ることなんて、それこそ無理ジンやもんでな。途中で降ろしてもうて、ヴィータ呼ぼうか思たんやけど、すずかちゃん達見つけてな。何や面白い会話しとるってこっそり侵入したんよ」
 「相変わらずぶれないね、はやてちゃん」
 「褒め言葉やな」
 「相変わらず変態だな、八神」
 「それも褒め言葉やで」
 「別にいいんだが、お前の高町を使った妄想を俺に押し付けるな……俺にだって俺の妄想がある。どっちかというと、レイプ系は嫌いなんだ。どうにも好かん。お互いが理解した上でのシチュに、俺はこの上ない情熱を覚える。だからそんなお前の妄想をぶち壊す」
 「そもぶ?」
 「うん」
 
 そもぶ。
 けど、本当に八神だけのせいなのか?
 何か他に、原因があるんじゃないだろうか……?

 「はやてちゃんも中丘町に住んでるんだよね」
 「そうや。偶に恭也さんと忍さんの熱々っぷりを見かけるで」
 「はやてちゃんも、お兄ちゃんのところ来る?」
 「ええん? ああ……けど、段差とかあるとなあ……」
 「心配すんな。俺が持ち上げよう」
 「ん~……うん、頼むわ!」
 
 一瞬悩む素振りを見せたのは、俺が信用に足るかどうかを考えたのだろうか。
 車椅子、というのは実際かなり怖いものである。確かに、見かけ楽そうだが、1人の時は自分とタイヤの近くのところを回して移動しなければならないし、押してもらうにしても、言ってみれば自分の命を相手に預けるのと同義である。うっかり、が死を招く可能性だってある。特に足が不自由だから、一回倒れてしまうと自分の力で立ち上がるのはほぼ不可能だ。
 知ったような口を聞くようだが、実際に学校で車椅子に乗って体験したことがある。しかも、足には拘束具をつけて、動けないようにして。押してくれる奴が大の親友であったから安心はしていたが、他の人達を見ると不安そうな表情を浮かべる人が多かった。

 つまりは、俺は少なくとも信用はされているようだ。

 「任せろ」
 「男の見せ場やな?」
 「Exactly」
 
 と、ここで月村の携帯に電話が入った。

 「もしもし、お姉ちゃん? ……うん、うん……えっ!? 恭也さんが!? わかった、すぐ行くよ!」
 「すずかちゃん、お兄ちゃんがどうしたの……?」
 「ごめん、言えない……だから、着いてきて!」
 「……! わかった!」
 「ごめんね、2人とも……はやてちゃん、夢見君に案内してあげて」
 「わ、わかったで!」
 「行こう、すずかちゃん!」
 「うん!」

 高町と月村はかなり焦っているようだ。
 今までに無いほどの真剣な表情だった。

 「どうしたんだろう、急に」
 「さ、さあ……?」
 「……何か、俺に隠してないか?」 
 「嫌やな~、ウチとゆめみんの仲やん。何もないって~」
 「……まあ、そういうことにしとくよ」
 「うん……」

 八神の表情が重い。
 高町の兄さんに一体何があったのだろうか。

 車椅子を押していく。
 少しだけ急ぐ。何か悪い予感がする。

 ――と、前方に。

















 槍を持った人。



 ――突きが一閃。

 グチョリ、と肉を抉る音。

 心臓を貫く。

 「ぅぁ……ぁぁ……」

 まるで神話や何かに出てくる神様のような格好。
 ちらり、と覗く相貌。魔晶の瞳。全てを吸い込み包み込むような。

  「――我、自らが見る、
 
    いかなる夢も受け入れんことを誓うか?」

 そう呟き、消えていく。
 嘘みたいな、本当の出来事。
 一瞬、死んだ。
 そんな気がした。

 ズキンッ

 心臓がが痛い。何が何でも、生きたい。こんなところで、死ぬなんて、絶対に嫌だ……!

 「ッ……生きるためなら……して……やる……!」

 意識はそこで途絶えてしまった。

















 歩き続ける。

 当ては無いけれど、けれども歩き続ける。

 この先に何かがあるような気がして。

 何かを掴もうとして、掴めた

 ドアノブみたいな、そんな感じがする。
 意識を向ければ、途方も無い暗き空間だけだったのに、蒼いドアがあった。
 開ける。
 そこは、新しい世界への入り口。
 つい先日、開けたばかりだけど、今度は、何か、はっきりと違う。
 

 「ようこそ、”ベルベットルーム”へ。私の名はイゴール……お初にお目にかかります」

 そこは、書斎であった。数多の書物が天井無き部屋の本棚に入れられている。本棚は暗き空間に吸い込まれるようにして限界はないようだった。床の敷物も、壁も、イスも、机も、本棚も、全てが蒼だった。しかし、その全てが違う色。同じように見えて、まったく違う。そんな、蒼き書斎。

 「こちらは、エルザ。同じくここの住人だ」

 イゴールと名乗った長い鼻の老人が、横に立っている――まだ小学生ぐらいだろうか――少女を俺に紹介する。

 「エルザです……よろしくお願いします……」
 
 どうやら、人見知りが激しいようだ。

 「ここは夢と現実、精神と物質の狭間にある場所……ここは、何かの形で”契約”を果たされた方のみが訪れる部屋……」

 イゴールは鏡を用意し、俺の方に見せた。
 胸の辺りが破れていて、そこからは五芒星の真ん中に目玉を書いたものが描かれていた。

 「今から貴方は、この”ベルベットルーム”のお客人だ。貴方は”力”を磨く運命にあり、必ずや私の手助けが必要となるでしょう。貴方が支払うべき対価は1つ……」

 そこで、イゴールは一息つき。


 「”契約”に従い、ご自身の選択に相応の責任を持って頂くことです」
 「――よく、意味がわからないぞ……俺はあの時に心臓を刺されて……それで……」
 「ほぅ……今はまだ、それで宜しい」
 「…………」
 「これをお持ちなさい」

 俺とイゴールとの間が一瞬光り輝き、そして俺の前に蒼い鍵――契約者の鍵――が現われた。

 「また、お会いしましょう……」
 「お、おい! どういうことだ、そりゃ!?」

 暗転。世界は物質に引っ張られる。

 
 









 「……どしたん? 顔色悪いで」
 「……! いや、なんでもない。急ごう」
 「うん……」

 変な夢を見た気がする。
 ポケットの中に重みを感じる。手を突っ込み、それを掴んで胸前に持ってくる。

 「なんだこれ?」




 そこには、石に変な落書きがされていた。五角形の石には五芒星が描かれ、その中心には……なんだろう、浮いているようにも見えるし、そこにただ書かれているようにも見える不思議な文様。見方を変えれば眼のようにも見えるし、円環を貫く柱のようにも見える。どこまでも深く考えさせられるような、不思議な、石。

 まだ、ポケットの中に違和感を感じる。

 「これは、さっきの……」

 仮面が描かれた蒼い鍵。
 それが示す意味は、先ほどのあれは夢ではなく、そして現実でもなく、その中間に位置することで、両方の世界に干渉出来るということだった。

 「……っぅ……頭痛ーや……」
 「ほんまに大丈夫なん? あれやったら、ウチ来る?」
 「……いや、大丈夫だ……ぅぅ……」

 急ごう。いよいよ、何かが起こりそうだ。
 ……これが、試練なのか……?
















 高町と月村が先に行ったのだが、どうやら2人とも相当慌てているらしく玄関のドアは開きっぱなしであった。それに、4足の靴はあっちこちに散らばり、よほどのことがあったのだろうと予測させた。
 割と落ち着き(1人は微妙だが)のある2人だが、これほどまでに慌てるのは相当珍しい、というか、今までに無かった。

 「はやて、あげるぞ」
 「うん……結構上手いな、夢見君」
 「まあな」
 
 八神では自分の分の靴を脱げないので、俺が脱がして揃えて置く。高町や月村の分もついでに揃えておこう。
 忘れてはいけないのが、車椅子の車輪を洗うこと。幸いにも近くに蛇口があったため、先に洗って拭いておいた。

 「「こんばんは……」」
 「ぐす……うう……はやてちゃん……夢見君……うう、うわああぁぁぁん!!」
 「なのはちゃん……やっぱり……!」
 「お兄ちゃんが、お兄ちゃんがああぁぁぁ、あああぁぁぁん!!」
 「よしよし……悪いけど、ゆめみん……なのはちゃんが出てきた部屋に行っといてくれへん? そこに、すずかちゃんと忍さんがおるから、事情を聞いて……もう、知ってしもたんやから、関わってしもたんやから、きっと……」
 「……わかった」

 先ほど高町が出てきた部屋に向かう。ドアは開けっぱなしで、すぐに月村と忍さんの姿が見えた。

 「こんばんは……」
 「君が、渚沙君ね……すずかから話は聞いているわ……ごめんなさい、巻きこんでしまって……」
 「お姉ちゃん……」 
 「あの、すいませんが、事情を聞かせて貰えませんか……? わからないことだらけなので……」

 そうだ、さっきから訳のわからないことが連発しているんだ。あの槍を持った人、ベルベットルームの住人。
 そして――そこで、死んだよう眠っている青年、恐らくは恭也さんだろう。

 「もう逃げられないものね……話すわ、今、この海鳴で起こっている――この病気について」
  
 漸く俺は、これまで妙に感じていた気遣いの正体に気づくのであった。

















 「事の始まりは、誰も知らないだろうけど、多分今年に入ってからね。そこで寝てる私の夫の恭也みたいな病気が広まったのは……」
 「最初はね、みんな少しの心配しかしなかったんだ。けどね、1日経っても、2日経っても、死んだように、少しも動かないんだ。そんな人が結構増えてきてね……主に中心だったのは、大人だったんだ。それも40を越えた人ぐらい」
 「本当に死んだんじゃないかって、みんな思ったんだけど、病院に行って診たら、心臓は停止状態なのに、脳だけが生きてる――そんな状態なんだって」
 「増えるに連れて、家計の中心だった人達が急に稼げなくなったから、今度は中学生とか高校生にもぽつぽつ出てき始めてね……それで、漸くこの病気を引き起こす原因がわかったの」
 「それは――不安、悩み、苦悩。そんな人間の心が、誰しもが考えていることだったの。さっき言ったのが、一定の度合いを越すとこの病気――夢死病――に発病するんじゃないかって、海鳴病院の人達が考えたわ」
 「現状、その考えで落ちついたの。あまり悩み過ぎると今度は自分達がなるから……それでね、対応としては、稼ぎ手が夢死病にかかった場合、市と町から援助金が出るようになったの。これで、金銭的な問題は解決したんだけどね」
 「もう一つの問題の方が難しいのよ。なにせ心の問題だから。とりあえずは、考え方を変えたの。悩み、とかじゃなくて、思考って思い込むようにしたの。これだけでも、だいぶ変わったわ」
 「そしてね、この夢死病にかかるのは――夢死病の存在を、少しでも知ってしまった人だけなの」
 「君が、この一週間悩んだかどうかは知らないけれど、知らなかったから、発病しなかった。けど、恐らくは私がすずかに電話をして、貴方が不信に思った瞬間――夢死病にかかる可能性が生まれたの……だから、全て私の責任よ……ごめんなさい……渚沙君……」
 「……謝らないでください、忍さん。遅かれ早かれ、いずれは気づく事だったんです」
 「……でも……私のせいで……!」
 「今、辛い貴方が、もっと辛いことになる理由がありませんし、それに、俺は悩みなんてないですから! 大丈夫です!」
 「夢見君……」
 「俺に何が出来るかわかりませんが、きっと役には立つはずです。ですから――手助けをさしてください」

 これが、試練だというのなら、俺は必ず打ち破ってみせる――!

 















寝ている恭也さんを除けば、この場には俺と高町の2人だけだ。
月村と忍さんには悪いが八神を家に帰すように指示をした。これから先、高町に聞くことは恐らく辛いことだろう。
……もしかしたら、あいつらは何かに気づいているのかもしれない。高町に何があったのか……。

たった一週間しか、しかも一日の半分以上は一緒にいない俺ですら、こんなにも違和感を感じるのに、あの大の仲良し軍団が気づかないわけがない。

「高町……お前に聞きたいことがある」
「……なに、ゆめみくん……」

言葉が少し舌足らずになっている。やっぱり……。

「お前、もしかして……うぁ!?」

心臓が痛い……!
視線を向けて見るも、先ほどベルベットルームで見た服の破れはなく、紋章があるのかわからなかった。

「くそっ……こんなところで……!?」

意識が、遠のいて行く……。

「ゆめみくん…? あれ、わたしも、なんだか……ねむくなっちゃった……」







そこは、いつもの草原だった。でも、雰囲気がまるで違う。いつものように何かのオーケストラが鳴り響かず、あの巨大なものはいない。

「一体何が……」
「にゃあ~!? ゆめみくん、あぶない~!?」
「た、高町!? 何で落ちてくるんだ!?」

空から降ってきた高町。このままならリアル犬神家になってしまうので、受け止めようとする。

ボフン。

 カルカッタ、じゃない軽かった。

 まるで重さを感じさせない――羽のように軽かった。

  お姫様抱っこという、何とも得をしたような格好であったが、受け止めた衝撃(殆どないようなものであった)で風がふわりと包む。スカートが、捲り上がる。

 ――純白。

何が純白であったかは、聞かないで欲しい。

 「ゆめみくん、おろしてくれるとうれしいの……」
 「わ、悪ぃ……」

ちょっと気まずい。

 「ところで、ここはどこなの?」
 「俺の考えが正しいのなら、ここはーー夢の中」
 「ゆめの、なか? ならどうしてゆめみくんとなのははいっしょにいるの?」
 「わからない……ただ、ここにはもう1人、人がいる気配がする」
 「そ、そうなの……? もしかして、それって……!」


 「ああ、きっと恭也さんだ」


 「! ほんとうに!? どうしたら、どうしたらお兄ちゃんはめざめるの!?」
 「待てって。先ずは恭也さんを探さないと……」
 「うん! うん!」

 もしかしたら恭也さんを起こすこと出来るということで、高町は元気を取り戻したようだ。
 だが、奇妙だ――。
 謎が、多すぎる。

 だが後回しだ。
 今は恭也さんを探さないと――。






 しばらくこの草原を歩き続けた。明確な目的はあるものの、何処に行けばいいのか、その指針は決まってはいなかった。
 殆ど俺の勘。
 長い間、この夢を見て来た俺だからこそ、微妙な違和感を感じる。

 そして、ようやく――。

 「? あれって、もしかして……!」
 「おにい、ちゃん……? そうだ、きっとそうだよ! いこう、ゆめみくん!」
 「おう! ……!?」

 恭也さんは何かと戦っていた。
 黒い、仮面を被った物体と。
 輪郭がぼやけていて、その存在自体があやふやな、奇妙奇天烈な存在。

 「くそっ、これでは切りがない……!」

 高町と共に走る。恭也さんは歯軋りと切羽詰まった表情を浮かべ、小太刀を手に戦っていた。

 「お兄ちゃん!」
 「! なのは!? どうしてここに……!」
 「話は後回しです! 恭也さん、こっちへ!」
 「君は……だが、この化け物が……!」

 「大丈夫です! 俺が、何とかします!」

 「その言葉、信じていいんだな……はぁ!」

 小太刀が一閃。
 敵を切り裂く。
 だが。

 「復活するのか……!」

 切られた傍から黒いゲル状の物質は集まり、直ぐに再生を果たす。だが、その間にも恭也さんはこちら側に逃げていた。

 「気をつけてくれ、クッ……」
 「お兄ちゃん……」

 身体は満身創痍。
 先ほど聞いた話では、今日の朝から夢死病にかかっていたらしい。ということは少なくとも5時間以上は戦い続けていたということ。
 恭也さんに尊敬と畏怖を感じるが、今はこの3体の影のような存在――仮にショドウと名付けよう――を斃すことが先決だ。

 ジャリ。

 高町達を守るように立つ。
 これが試練だというのなら、俺は逃げない。



 俺は――戦う。
 この命にかえても、今はこの2人を守り、このシャドウを叩き潰す。

 ドクンッドクンッドクンッ!

 心臓の高鳴り。
 それと共にポケットにいれていたあの石が熱くなっていた。

 石を手に取る。
 時が止まったようにシャドウは動かなかった。

 心の海から、声が聞こえる。

 『――我は汝、汝は我――
























――汝、偉大なる深淵より、我が手を掴めッ!!!』




 「……ぺ、ル……」

 自然と頭の中に言葉が浮かぶ。
 一文字を紡ぐごとに、石の紋章が光り輝く。

 「……ソ……ナッ!!!」

 足元に、五芒星と仮面の描かれた紋様が浮かび上がる。

 石は燃え盛る。五芒星、中心の円環と柱に蒼い焔が灯った。

 その焔の中に、1枚のタロットカードを見つける。1人の若者が鍬を担ぎ、これから全ての可能性を持つ――No.0のカード『愚者』。



 ――掴めッ!!!

 バリィィンッ!

 硝子を砕いたような音。
 蒼い焔が迸る。
 全身を包み、そして権限する。



























 先端が3つに別れた槍、白と黒のコート。深淵より天空を見つめし瞳。

 「すごい……」
 「なんだ、あれは……!?」
 「……!」

 シャドウが這いて動きだす。
 足元に先ほど浮かんだものとは違った仮面を被っている。
 一番槍を買って出たシャドウを

 グシャリ、と槍で貫く。

 自然と口元が歪む。
 気分が今までにないように高揚する。
 今まで何故こんな力が無かったのだろうか?

 脚に痛みを感じた。何時の間にか近づいて来ていたシャドウが噛み付いていた。

 巨神を動かし、掴み上げ、投げつけ、潰す。
 ――あと一体。

 そうだ、このペルソナの力はこんなものではない。
 名前だ、名前を呼ぼう。
 力を引き出せ。
 心の底から。
 心の深淵より、掴んだ力を引き出せ。




 「――ノーデンスッ!」

 蒼い眼光。
 光り輝き、残り一体のシャドウを睨む。

 槍を振り回し、力を発する。
 瞬間、凍りつく――!










 「はあ……はあ……はあ……」
 「夢見君、凄かったよ! あれ、『ペルソナ』っていうのかな、とっても格好良かったよ!」
 「君が渚沙君か。母さんから話は聞いている。色々と混乱してしまっているが、助けてくれたことには変わりない。ありがとう」
 「はあ……はあ……いえ……ところで、どうしてここに……?」
 「なのは達には決して悩むなって言ったんだがな……まさか、俺が夢死病になるとは……後で、事情は話す。今はここから出ることの方が先決だ」
 「それなら大丈夫です」

――カッ!

 石の紋章が俺たちを包み込み。
 世界は、物質へと引っ張られる。




























現在のステータス 魅力:2 頭脳:2 寛容さ:2→2.5 変態度:2→3 勇気:1→2

高町姉の料理を食べた→勇気が0.5UP
その後、怒らなかった→寛容さが0.5UP
はやてとの変態談義→変態度が1UP
シャドウとの対面し倒した→勇気が0.5UP

 能力、”ワイルド”に目覚めた!
 愚者のペルソナ”ノーデンス”を得た!
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コメント

Re

初めてこのサイトの小説見ましたが……厨ニ一直線なんですねw
これがそういう種類のものだってことなのか、それともサイトの持ち味なのかは知りませんが、唖然+にやにやでした。
二次系ですか……どうしよ、私も何か書こうかな?

Re: Re

>>篠原藍樹様

基本的に、厨二まっしぐら系です。
元々(現在も利用中です)小説を書くのに使用しているサイトの二次創作という分野では作風は厨二系が多いですね。自分は末期ですが。

なのソナDは高校生もの……というか、メガテンのペルソナシリーズの主人公は高校生なんで、基本的にそれに乗っ取って書いてます。ペルソナ3や、前にアニメ放送があったペルソナ4などは、やっぱり高校生でしたし。

この作品はなのは×ペルソナを語っておりますが、正確には巷で話題のクトゥルフもストーリーの重要な要素となっております。ボスはクトゥルフの怪物たちですから。

ご都合主義の塊という認識は重々しておりますが、ニヤニヤが止まらない! というのを目指して精進していきます。

初コメ、ありがとうございました!

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