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Twice Again

Author:Twice Again
えと、どうもTwiceAgainです。
始めましての方も、そうでない方もどうぞまったりゆったりしていってください。小説の毎日更新は出来ませんが、マイペースにやっていきたいと思います。僕の二次創作は暇つぶし程度にどうぞ。感想やご指摘は歓迎します。
では、どうぞごゆるりと……。


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4年前――。

『J.S事件』と呼ばれる大型都市テロにおいて、八神はやて率いる『機動六課』のメンバー、高町なのはやフェイト・テスタロッサ・ハラウオンの活躍により事件は終結した。

このテロの際、『聖王のゆりかご』と呼ばれる超大型質量兵器が使用された。過去の聖王達がここに生まれ、育ち、そして死んで行ったことから名付けられたこの兵器は、オリヴィエを『最後のゆりかごの聖王』として歴史上から姿を消した筈であった。

しかし、主犯であるジェイル・スカリエッティが、聖王の遺伝子情報から造られたヴィヴィオを聖王の鍵としこれを起動させた。

数kmにも及ぶ艦内で繰り広げられた戦いは熾烈を極めた。己のトラウマに打ち勝ち仲間のピンチを救った者や、ガシェットⅣ型という種類の兵器数百体に対し、勇敢に挑んだ騎士、そしてゆりかごを止めた白き者。

出会いがヴィヴィオを強くし、己の暴走を止めた彼女に憧れ、彼女が母であることを誇りに思える――優しい人になりたいと強く思う。

そんな運命を乗り越え、ヴィヴィオは。新たな一歩を踏み出そうとした――。




Side Einhard

武技において最強の名を手にした王女がいた。名を……オリヴィエ・ゼーゲブレヒト。

かつて『覇王イングヴァルト』は彼女に勝利する事が出来なかった。


見間違えることのない紅《ロート》と翠《グリューン》の瞳。それは覇王の記憶に焼け付いた聖王女の証である。紅と翠の双眸を持つ彼女――ヴィヴィオさんと対面している私は、あの時ノーヴェさんに話したことを思い返していた。



「それで時間を超えて再戦……か?」

「覇王の血は歴史の中で薄れていきますが、時折、その血が色濃く蘇るときがあります。碧銀の髪やこの色彩の虹彩異色、覇王の身体資質と覇王流《カイザーアーツ》」

これだけの過去の遺産を受け継いでも、常に精進して努力を積み重ねても、彼の背中はまだ霞んでしか見えない。

かの聖王は、さらにその先の地平線の彼方。そして覇王は追いつくことが出来ず、彼女は死んでいった。皮肉にも、それが更なる道しるべにもなった。

「それらと一緒に少しの記憶もこの身体は受け継いでいます。私の記憶にいる『彼』の悲願なんです。――天地に覇を以って和を成せる……そんな王であること」

いつしか、記憶を見る中で彼の悲願が私の悲願にもなっていました。だからこの憤りのない気持ちをどうすればいいか、知る術を私は持たない。



「弱かったせいで、強くなかったせいで――







――彼らは彼女を救えなかった……護れなかったから……」







心中を暴れる感情は決壊し、涙という形で私の頬を流れる。この感情は、私のものであり、彼のものでもある。


それだけに――抑えきれない。


「そんな数百年分の後悔が……私の中にあるんです……。だけど、この世界にはぶつける相手がもういない。救うべき相手も、護るべき世界も……」

心の激流のなかで、あの人なら受け止めてくれるかもしれないと、思った。けどあの人――エリアスさんは何も知らないから……。









ふと、自分がさっき言った事を思い出す。



私は、確か……『彼らは彼女を――?』

何かがおかしい、なぜ、ナゼ、何故?

どうして、どうして『彼ら』なんですか……?

頭が混乱する。わからない、わからない。







覇王は1人、彼女の死を……悔やみ、自身を憎み、弱さを捨て、強さを求めたんじゃ――?

一つの答えが浮かび上がる。単純故に、最も理解が出来ない事象。自分の信じていたものが間違っていたかもしれないという不安感がそれを否定する。

何が変わった?

認めたくない、信じたくない、理解したくない。

何が変わった?

聞きたくない、知りたくない、黙っていて。





――これが真実だ――













私の記憶――覇王の記憶が変わった……?











「……ぃ……ぉぃ……おい!」

「……ぁ……すいません、ノーヴェさん……」

思考が心の奥底から引き上げられ、ノーヴェさんの声で平常心に戻されるが、まだ重い頭が思考の邪魔だてをする。

「大丈夫かよ? 本当に……。もう一回言うぞ。あたしの知ってる限りだけどよ、お前の拳を受け止めてくる奴はいる。あたしが言うんだから間違いねェよ!」

――果たして、本当なのか。










思考が終わりを告げる。相対する彼女は私の拳を、覇王の悲願を受け止めてくれるのでしょうか?













身体に魔力を浸透させ強化を施す。足元には、ベルカの魔法陣が展開され輝きを放っていた。

「んじゃ、スパーリング4分1ラウンド。射砲撃と拘束(バインド)はなしの格闘オンリーな」

ノーヴェさんの開始の合図を待つ間、身体を身構え、意識を相手の動きを読むことに集中する。

トンットンットンッ……

相手は一定のリズムをとって、恐らく突撃(チャージ)をしてくるのでしょう。わかっている攻撃ほど、御しやすいものはないです。

「レディー、ゴー!」

トンットンッタンッ!

音が変わった。速い。しかし、予想外ではない。眼前に接近しているヴィヴィオさんがアッパーを繰り出す。予想の範中の攻撃はいくらでも防げる。

先ほど戦ったエリアスさんは……凄かった。行動を抑制され、起死回生の一撃を放とうとも回避され、その隙をつかれ敗北を期した。魔法戦ならわからないと言っていたが、それは相手も同じ土俵に立つということ。

自分だけが使えて相手は使えないという状況ではない……。魔法の得意、不得意はあれど恐らく魔法を絡ませた戦法はまた一つ上の段階にあると思う。








連撃は続く。けど避ける、ないしは防御しているため特にダメージはない。

――蹴りが飛ぶ。顔を背け避けてしまったから反撃には移れない。


――ああ、エリアスさんの言った通り、この子はとても真っ直ぐだ。技も心も、私とも、彼とも決定的に何かが違う。


優しい子なんだ。きっと。







だから。








この子は、私の戦うべき『王』ではないし。優しすぎるこの子には……私の拳は向けられない。



ズドンッ!

隙をつき、左手を心臓部に押し当てる。空気を裂き、相手の身体は宙に浮いている。

何が起こったのかわからないのか、思考が停止しているように見える。しかしあのままでは受け身をとれず――。



心配は杞憂に終わる。彼女を陛下と呼び親しむ2人の……確かオットーさんとディードさんが彼女を受け止めた。

周りを流れる風は平常に戻り、戦いの跡は消えていく。見るとヴィヴィオさんがブルブルと震えていた。

「す……」

恐らく、『すごい』と思ったのでしょう。表情はまるで夏に咲くひまわりのように元気というのか、今なら尊敬とでも当てはまるのか、色々な感情が混ざり合い笑顔になっていた。



それ故に、私は――違うと感じた。




「お手合わせ、ありがとうございました」

踵を返し、振り向きざまに一礼。ああ、身勝手過ぎる。折角、機会を設けてもらったのに、ただ迷惑をかけただけだなんて。

「あの……あのっ!……すみません、私何か失礼を……?」

「いいえ」

単に彼女は覇王の拳を向けていい相手ではなかっただけ。それだけ。彼女は何も失礼なんかを私にかけていない。

もとより期待はあまり無かった。いくらノーヴェさんが言っても、あの暗い世界の事を知らない彼女は……あまりに眩しい。積み重ねた後悔と苦痛を滲ませた覇王の拳は、彼女にぶつけていけない。そう思った。

「じゃ、じゃあ、あの……わたし……弱すぎました?」

「いえ……趣味と遊びの範囲内でしたら充分すぎるほどに」

少し言葉に棘が出る。心の暗雲が払いきれず吐露してしまっている。……こんな事を言えば、彼女が傷つくのがわかってるのに。

「申し訳ありません、私の身勝手です」

「あのっ! すいません……今のスパーが不真面目に感じたのなら謝ります! 今度はもっと真剣やります。だから……もう一度やらせてもらえませんか? 明日でも……来週でも……!」

私は彼女との試合に意味を見出せない。それにコミュニケーションをとるのは下手だから、さっきみたいに彼女を傷つけるかもしれない。だから、私はノーヴェさんに助けを求めた。

「あー、そんじゃまあ、来週またやっか? 今度はスパーじゃなくてちゃんとした練習試合でさ」

例え意味が無くとも、練習にはなる。それに今の私は藁にもすがる思いだ。気持ちの何処かにまだヴィヴィオさんに期待している自分がいるかもしれない。

「ああ、そりゃいいッスねぇ」

「2人の試合、楽しみだ」

「はいっ!」

「――わかりました。時間と場所はお任せします」

「ありがとうございます!」

そういえば、エリアスさんがこんな事を言っていた。『世の中には上には下を、正には悪を、勝ちには負けを、と正反対のものが1セットになっている。必ずしも同じものだけがセットになってるんじゃない』

私には言葉の意味がよくわからない。けど、彼女なら……ヴィヴィオさんなら、私より長くエリアスさんといる。もしかしたら……わかるかもしれない。

淡い希望。カンダタの前に吊るされた一本の細い蜘蛛の糸のような希望は、私は彼女ともう一度戦うことを決めさせた。

Side out















聖王VS覇王の戦いは、不完全燃焼のまま終わり、それぞれに微かとはにわかに言い難い結果を残した。

ヴィヴィオには『自分は未熟者なのに、不真面目で弱くてがっかりさせてしまった』と、更なる修練のきっかけをつくった。実際は、違うのだが、事情を知らない彼女には知る由も無いだろう。

アインハルトには『新たな可能性の提示』をし、再戦への思いを募らせる。果たして彼女は何を見つけるのだろうか。






来週にある練習試合に備え、夕食をなのはと食べ終えたヴィヴィオは、既に練習を開始した。いつまでも立ち止まらず、新たな一歩を踏み出す勇気を持っているのが、ヴィヴィオの美点だ。

「(あの人の、アインハルトさんが求めているのはわからないけど、精一杯伝えてみよう)」

今日のスパーでは、彼女は途中で急にやる気をなくしてしまった。何故だかはヴィヴィオのはわからない。けど、伝えたい。あの時、伝えられなかった気持ちを、胸の奥に秘めたこの気持ちを。

「(高町ヴィヴィオの本当の気持ちを……!)」

決意を胸に、期待と希望を全身に滾らせ、ヴィヴィオは全身全霊を込めて戦うことを決めた。



一方、アインハルトとエリアスは……。




「……で。正直どうなんですか? 纏めたような、ぐちゃぐちゃなような感じでワケワカメなんですが」

「……はい……ヴィヴィオさんはやっぱり覇王の拳をぶつけていい人ではありません。彼女は……優しすぎるんです。私のように、痛みを背負っていないから……この拳を向けられないんです……」

アインハルトを送っていくため、ティアナの車に乗った2人。エリアスもいる理由は、単純にアインハルトの家に近いからである。

家までは時間がかかるので、エリアスがアインハルトに今日のスパーについて問答をしているところだ。

「……そっか。じゃあ、それは、覇王たる君の拳なのかい? それとも……」

「……確かめたいんです。この拳は私であって覇王(わたし)です。彼女へ向ける拳は……どちらなのかを……!」

心の中のモヤモヤが少しスッキリしたのか、俯き気味の表情が変わり、希望を含んだ眼差しをエリアスに向けた。

「時間はあるさ。ヴィヴィオだって今度は本気でくる。ぶつければいい。自分と……相手のことを知るには……それが1番手っ取り早いからね」

「……エリアスさん。明日、練習に付き合ってくれませんか……。ヴィヴィオさんには悪いことをしました。消化不良で、少しウズウズしてるんです」

「りょーk『主よ、伝達だ。ヴィヴィオ様より送られた』堅苦しいのはいいから、普通にメールでいいって……」

『…………』

「はあ……表示して」

『御意』

ガーディアンが知らせたヴィヴィオから届いたメールには、こんなことが書かれていた。

『ヴィヴィオです! あの少しお願いがあって……明日、一緒にトレーニングしてくれませんか? 実は消化不良で……都合が合ったらでいいので……』

「……もう、明日すればいいんじゃないの?」

「そ、そういう訳にもいきません! 色々と……そう! 色々とあるんです!」

「……さいですか……」

結局、明日は土曜日ということで、朝はヴィヴィオ。昼はアインハルトという運びになりエリアスの心労は増加していった。







「(覇王の拳……ぶつけたいのなら、僕はいつでも受け止める覚悟はあるよ)」

心に灯した口にしない思いは、覇王に届くことなく、胸の中を渦巻き――









第二の歯車は『ガチャリ』と錆び付いた音をたて、第一の歯車と噛み合った。
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