プロフィール

Twice Again

Author:Twice Again
えと、どうもTwiceAgainです。
始めましての方も、そうでない方もどうぞまったりゆったりしていってください。小説の毎日更新は出来ませんが、マイペースにやっていきたいと思います。僕の二次創作は暇つぶし程度にどうぞ。感想やご指摘は歓迎します。
では、どうぞごゆるりと……。


最新記事


最新コメント


最新トラックバック


月別アーカイブ


カテゴリ


アラル港湾埠頭 現在時刻13:20。

廃棄倉庫区画 試合時間……10分前。

そこにはヴィヴィオ、その傍らにノーヴェ、そして前回のスパーを観戦していた級友のコロナとリオ、ナカジマ家のウェンディ、ディエチ、チンクや聖王教会に在籍する双子、オットーとディードの姿も見受けられた。

全員がドキドキしながら相手の到着を待つばかり。ヴィヴィオは落ち着いた様子でいるのに、その周りのコロナやリオが心配そうに見つめている。それも杞憂に終わるのだが。

「お待たせしました。アインハルト・ストラトス、参りました」




凛とした声。澄んだその声は、この場にいる全員の鼓膜を震わした。彼女、アインハルトの傍らにはエリアスと、迎えに行っていたのかティアナとスバルがいた。

「来ていただいて、ありがとうございます。アインハルトさん」

ペコッとお辞儀をするヴィヴィオ。同時にクリスも揃ってお辞儀をしていた。

「ここな、救助隊の訓練でも使わしてもらっている場所なんだ。廃倉庫だし、許可も取ってあるから安心して全力を出していいぞ」

「うん、最初から全力で行きます」

ヴィヴィオの言葉からは並々ならぬ決意が感じ取られた。向かい合うアインハルトもその決意を感じ取る事が出来た程に。

「セイクリッド・ハート、セット・アップ!」

古代ベルカ式とミッド式の混合ハイブリッドの術式が現われヴィヴィオを光が包み込む。そしてその光が収まる頃には所謂大人モードになっていて、細部は違うが聖王の鎧を模したバリアジャケットを身に付けていた。

「――武装形態」

アインハルトもそれに伴って変身をする。どうやら最近のトレンドは変身魔法を使うようだ。エリアスも少ししたくなったので、エルとガーディアンに相談をしていた。却下された。

アインハルトのバリアジャケットらしきものは、覇王イングヴァルトのものを女性用にアレンジしたものらしい。なので、白のハイソックスやミニスカートがとても目には眩しい。

「今回も魔法はナシの格闘オンリー、5分間一本勝負」

この場にいる全員が2人の戦いを見守る。当然、エリアスも。

「それじゃあ試合――」

ノーヴェが手を振り上げる。あと、ほんの数瞬で……己が想いのぶつかり合いが始まる。

何故か、2人とってはこの時間がとても長く感じた。そして、張り詰めた空気が、身体を吹きつける風が痛く感じた。

「――開始ッ!」











Side others in Einhard

初動を見せれば動く試合でもお互いが動かなければ試合は硬直状態のままである。しかし、その硬直時間には立ち合う者でなければわからない『相手を知ろうとする、相手に自分の想いを伝えようとする』があった。

「(綺麗な構え……。油断も、甘さもない。いい師匠や、仲間達に囲まれて……)」

相対するヴィヴィオを見て、判断する。仲間達と共に支え合い、共に育ち、共に強くなっていった彼女の構えは、淀みもなく、ただ純粋で澄んでいた。

「(この子はきっと……格闘技を楽しんでいる。私とは何もかもが違うし……覇王(わたし)の拳(いたみ)を向けていい相手じゃない)」

ずっと独りだった。たった独りで強くなってきた。受け継がれし覇王の記憶が、その痛みが誰かを傷つけてしまうのが怖くて、恐しくて、だからずっと独りだった。

なのに――。

なのに、なのに、なのに。

この子だけは……。

高町ヴィヴィオだけは……。



別の何かの衝動が、彼女と戦いたい――と、強く願う。












Side Vivio

「(凄い威圧感……。一体どれくらい、どんな風に鍛えてきたんだろう)」

最初は、1人で頑張っていた。だけど、気づいてくれた人がいた。教えてくれた人がいた。共に、強くなれる人が出来た。一緒に頑張ってきた。そして……アインハルトに出会った。

「(勝てるなんて思わない。だけど、だからこそ一撃ずつ伝えなきゃ……!)」

やっと届いた、この拳。血はつながらないが兄と親しむあの人にやっと届いたこの拳を……アインハルトにもぶつける。想いを載せた一撃を彼女に伝える。

何のために、あの日は頑張った――?











「驚いた、本当に……一撃を喰らうなんて……」

「っはぁ……はぁ……はぁ……やったぁぁぁ! やっと、やっと届いたんだ……お兄ちゃんに、私の拳が……!」

「……ヴィヴィオ、君は今日どんな風に僕に打ち込んできた?」

「えーと……『必ず一撃をいれる』って……あと『強くなるんだ』ともずっと思ってました!」

「……なら、当然だったのかな?」

「……?」

「いや、なんでもないよ。アインハルトと戦うときを楽しみに待ってるよ」

「――はいっ!」












「(そうだ、あのときは強い思いをのせて、全力でいったんだ……今日も、全力でいきます……!)」

一歩を踏み出す。攻撃に移ろうとする。しかし――

アインハルトが鉄砲玉のように飛んでくる。そしてその勢いをのせた右拳がヴィヴィオに襲いかかる。

 
ドゴンッ!!

腕を斜め十字にクロスさせ、少しでも衝撃を抑える。腕が痺れる。おもわず方目を閉じてしまうほど拳は重かった。だが、油断などしていられない。こうしている間にもアインハルトは次の攻撃の準備をしている。

左手を引くモーション。そこからの顔面を狙った左拳は、ヴィヴィオの頬を掠める。


――右拳が再び襲いかかる、が、それは左腕で防御出来る。


――左腕の顔を狙ったフックが来る。しゃがんで避ける。そして見つけた一瞬の隙。


ここしかない――!

「(わたしの全力ッ!)」

自分の全力を、右拳に込める。伝えるんだ、この想いを。あの日……伝えられなかったあの想いを。燻っていた、どんどんと熱くなる、この気持ちを――!



「(これがわたしの、格闘戦技《ストライクアーツッ》!!」

ドゴンッッ!!!

想いをのせた一撃、確かにアインハルトにぶつけた。

Side out









予想だにしない一撃は、アインハルトの身体を3m程吹き飛ばす。一瞬、何が起こったのかわからなかった。地面からは煙があがり、受けた拳の威力が見て取れた。

前を見る、今度はさっきとは逆にヴィヴィオが攻めてくる。

左拳からの直打を腕をクロスさせ威力を減退させる。袖が少し破ける。しかし、ヴィヴィオはアインハルトのように追撃は出来なかった。理由はあるのだが、それはまた別の機会に話そう。

「(この子は――)」

攻撃の応酬、一度ならず2度、3度と攻撃をする。そして、とどめに右腕を引き力を込める。

「~~~~~ッッ!!!」

声にならない苦痛とは、この事をいうのだろうか。それでも、これは勝負だ。やる以上……負けるわけにはいかない。この子にナニカを求める自分。ナニカを知りたいと思う自分。わかるために、理解するために、アインハルトは……拳を振りぬく――ッ!



ガンッッ!!

まさか、だった。まさか自分の攻撃が僅差で避けられ……カウンターを喰らうなんて

『やった!?」

どこからともなく歓声があがる。それは誰が言ったのかを知る術は、今戦いに集中している彼女たちは持たない。別に、知らなくともこの戦いが彼女達のこれからを変えていくのだ。これは、そういう戦いだ。

幸いにして、直撃は避けた。左頬にダメージを負ったがさしたる問題はない。しかし、完全に予想の範疇を超えた一撃だった。心に惹きとめておく内容であろう。

「はあぁぁぁッッ!」

掛け声と共に駆け出すヴィヴィオ。それに対して再び闘志を燃やすアインハルト。2人の格闘が熱くなる。


――拳が飛ぶ。


「(どうしてこの子は……)」


――脚が飛ぶ。


「(こんなに一生懸命に……?)」


――腕を守る装甲が、一番傷つく腕の袖が弾け飛ぶ。


「(師匠が組んだ試合だから……?)」


――されど、肩膝はつかず。


「(友達が見てるから……?)」


――反撃に、蹴り上げが襲いかかる。しかし、右拳直打を与える。


心のなかでいくら考えようとも、答えは出なかった。何の、ために……。


Side out













Side Vivio


大好きで、大切で、


護りたい、人がいる。


あの日、助けてくれた……大好きな人も、


わたしは護りたい。


小さなわたしに、強さと勇気を教えてくれた。


世界中の誰よりも愛してくれた。


強くなろうって約束した。


一緒に強くなるって約束した。


だから、私は……


強くなるんだ――!


強さに限界なんてないって教えてもらった!


だからッ!


どこまでだって……強くなるんだ――!!

Side out














お互いの身体は既に満身創痍。次の一撃を決めた者が勝負を分かつとエリアスは思った。一進一退の攻防に加え、全力を以って繰り出される拳と脚の応酬。全てが一種の芸術である。

「あああぁっ!」

ヴィヴィオの拳がアインハルトに炸裂する。渾身の力を以ってして繰り出された拳を、当然アインハルトは防御する。この状態で後一撃、それが勝負の分け目《ターニングポイント》と成り得るのだから。

しかし、既にギリギリの状態。腕を十字にクロスし出来るだけ反動を和らげたとしても、その表情は苦痛を示していた。バキッビキッと腕の装甲が壊れる音がする。しかし、その瞳は。2種の色彩を持つ虹彩異色《オッドアイ》の双眸は、正しくヴィヴィオを捉えていた。

「!」

その瞳を見た瞬間、悟ってしまうか。次に、強烈な一撃が来る事を。聖王の遺伝子を受け継ぎしヴィヴィオの危機管理能力が警鐘を鳴らす。だが、時既に遅し。この一撃を喰らうことは既に定められたことであった。刹那に、行動を起こせたのはヴィヴィオのこれからを決める重要な要素であったか。

ギャギャギャッ!

下のコンクリートを削りながら勢いよく右脚を下げ、そして新たな一歩を踏み出す。

足先から練り上げられた力が、足首、膝、腰、腕、肘を通り、そして拳先へと収束していく。

渾身の力を込め、今こそ魅せる。あのときはエリアス魅せられなかった、まだ未熟ながらも……これこそが、覇王の拳、一撃であると。














『覇王 断空拳』



渾身を以ってして与えられた一撃は、ヴィヴィオを吹き飛ばす。



しかし、その先には建造物がある。いくらシールド(エリアス作)があるとはいえ、危険である。もしかしたら意識がないかもしれない。幾分、心配になったエリアスは吹き飛ばされた直後に、あらかじめ用意しておいた魔法を発動させる。

「ちょっと、危ないよね……スパイダーズ・ネットッ!」

直訳すると『蜘蛛の網』。それは見た目さながら蜘蛛の巣と言っても過言ではない。用途としては、飛んでくる物体を受け止め、安全にキャッチするためのもの。ホールディング・ネットと同じである。違いは先述した通り本物の蜘蛛の巣のようになっていることぐらいか。

これにより、ヴィヴィオの建造物への直撃は免れた。しかし、思いのほかアインハルトの『覇王 断空拳』の威力が高かった事と、デバイスを介さない魔法行使だったせいかネットは壊れかけであった。

このままでは、と駆け出していったエリアス。ちょうど彼がヴィヴィオの真下にくるとネットは壊れてしまい、ヴィヴィオは彼が所謂お姫様抱っこで腕の中に収まった。

「――一本! そこまでっ!」

「ハァ、ハァ……」

「いやぁ、焦ったよ……」

「「陛下!」」

「「ヴィヴィオ!」」

過保護なまでの双子、オットーとディード、そしてヴィヴィオの親友であるコロナとリオがヴィヴィオを心配して駆け寄る。焦った、という割には全然余裕そうなエリアスはさておき、アインハルトは先日には見せなったほどに疲労していた。

変身制御、彼女達にしてみれば大人モードは解けていた。いつ解けたかはわからないが危険な状態であったのだろう。意識は半分半分、と言ったところか。変身制御は魔法により姿を変えるものである。ヴィヴィオの全身の傷が消えているのは、恐らく解かれた瞬間にその傷が全て魔力ダメージに変換されたためであろう。しかし、骨折などの重傷の場合は、本体にも影響がありえる。

だから未だに起きないのだ。

エリアスはオットーとディードに介抱するように頼み、少しだけ気が楽になった。

「ヴィヴィオ、大丈夫か?」

「怪我はないようです……大丈夫」

「良かった。アインハルトもちょっとだけ怖かったかな?」

「うぅ、はい……」

「けど、少しだけ手加減したね? 助かったよ、アレ以上速くなると流石にデバイスの演算が無いときついからね」

「ありがとうッス、アインハルト」

「「ありがとうございます!」」

「ああ、いえ……/////」

純粋な感謝の念を送られたアインハルトは羞恥で頬を染めていた。その横でエリアスは断空拳の直前、ヴィヴィオのカウンターが掠ったことを思い出し――


「…………!?」

アインハルトは突如として体制を崩す。そして横にいるエリアスにぶつかってしまう。

「おっと……大丈夫、アインハルト?」

「……は、はいッ! だ、大丈夫で、す……」

「ラストにカウンターが一発掠ってたろ。時間差で効いてきたか」

先ほどより、更に顔を赤く染めるアインハルトは言わば『朱に交われば朱くなるどころではない』である。茹で上がったたこより真っ赤っ赤なのだ。その状態でノーヴェの解説を聞いたがまったく頭に入らなかった。

「だ、大丈夫です……大丈夫です……」

軽い脳震盪か、三半規管が揺さぶられ平衡感覚がおかしくなっているのだろう。エリアスの肩を貸してもらいながら再び歩こうとするアインハルト。しかしそんな状態ではまた……。

「ほい」

ぐらっと揺れた身体をエリアスが抱き寄せる。あまりの行動にアインハルトはもう恥ずかしい。そして外野が茶々と本当のことを織り交ぜた厄介なことを言い始める。

「いいからじっとしてろよ(ニヤニヤ)」

「そのまま……ね(ニヤニヤ)」

ノーヴェとティアナ、完全に2828顔である。明らかにこの状況を楽しんでいる。恐らく今日のお酒は美味しく感じるだろうな。でも、ある種の幸福と災難が織り交じった2人は、どうやらまんざらでもないご様子。見ていて絵になる2人はきっと特別な存在なのだと感じました。

ヴィヴィオに膝枕をしているディードや、薬箱を準備しているオットー、ちょっと慌てるリオや、パタパタとヴィヴィオを下敷きで仰ぐコロナ、そして心配そうに見つめている銀髪ロリ眼帯のチンクたん萌え。

その面子を横目に会話は進む。

「――で、ヴィヴィオはどうだった?」

「彼女には謝らないといけません。先週は失礼な事を言ってしまいました――訂正します、と」

その答えを聞けて満足なのか、エリアスとノーヴェはニカッと笑った。

「そうしてやってくれ、きっと喜ぶ」

「そうです。あれでもヴィヴィオは……思いつめていたみたいですよ……? アインハルト」

「うぅ……意地悪です、エリアスさんは……」

もう、大丈夫です、とエリアスに言い1人できちんと立ってみせるアインハルト。その顔は答えが見つかった表情をしていた。

「(彼女は覇王《わたし》が会いたかった聖王女じゃない。だけどわたしは……この子とまた戦えたらと思っている)」

戦うなかで芽生えた新たな想い。それはかつての覇王と聖王と同じだったかもしれない。お互いが戦争に身を置く中で芽生えたものとは見た目は違うかも知れない。だが、中身は……一緒なんだろうと思う。

「はじめまして……ヴィヴィオさん。アインハルト・ストラトスです」

新暦79年……春。

「それ、起きてる時にいってやれよ!」

高町ヴィヴィオとエリアス・オルバは、アインハルト・ストラトスにこうして出会った。

「……恥ずかしいので、嫌です……」

「どこかゆっくり休める場所に運んであげましょう」

「「はいっ!」」

「なら、僕がヴィヴィオを運ぶよ」










これから紡がれる鮮烈《ヴィヴィッド》な物語。

ある者は希望に満ち溢れ、

ある者は前に進む一歩を踏み出し、

ある者は行く末を見守る。

それぞれの想いを胸にようやく物語の歯車が――廻り始めた。


第1章『Victor編』 完















Side Vivio

温かい。ぽかぽかする。この感触は忘れもしないあの時の……。

お兄ちゃんの……温もり……Zzz……Zzz……。
スポンサーサイト
サイト継続のために1クリック! ↓
こちらのサイトはサクラ、架空請求一切なしの安心のサイトです!ハッピーメールバナー  

コメント

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://twiceagain.blog.fc2.com/tb.php/45-c09776c6

 | BLOG TOP |