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Twice Again

Author:Twice Again
えと、どうもTwiceAgainです。
始めましての方も、そうでない方もどうぞまったりゆったりしていってください。小説の毎日更新は出来ませんが、マイペースにやっていきたいと思います。僕の二次創作は暇つぶし程度にどうぞ。感想やご指摘は歓迎します。
では、どうぞごゆるりと……。


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 五月の、春の朝日が窓から入り込んでくる結構な都会なせいか、鳥の囀りは聞こえず、けれども、朝が来た、ということはわかった。よくよく考えればここは高層マンション。ベランダには小鳥とか、そういう可愛い小動物は来ないだろう。寧ろ鴉とかが来る筈。

 「んん~っ!」  

 背伸びをする。背中の骨がバキボキゴキと鳴る。ちょっと、ゴキって音怖いんだけど。

 「顔洗いに行こ……」





 確か、洗面所はバスルームの手前だった筈だ。昨日で部屋割りは覚えた、間違いはしない。
 顔を洗い、歯を磨く。そしてキッチンの方へ。一瞬、いつもの癖で朝食を準備してしまいそうになったが、昨日のシュークリームのことを思いだす。出来たてを食べることが出来るのなら、さぞかし美味いだろう。昨日のしばらく時間がたったものでさ、俺の腹の虫は騒ぐのだから。
 一つ、ぱくつく。うーまー。これは美味い。Brilliant!

「ってあれ、もうないや……」

 美味しいものはすぐなくなるから辛い。つまりまた買う、食う、辛い、買うの連鎖が発生するから企業は流行ったら儲かるのか。で、飽きたら捨てられる存在となる。だから次々と商品を生み出し、消えないように頑張るわけね。

 「しかし、他にもケーキとかあるんだろ、翠屋。絶対潰れないな」

 あのなのはちゃん、という娘は桃子さんの褒め言葉の羅列の中に料理とかが得意と書いてあった。お菓子作りは私に勝るとも劣らない、とか。 

 これが料理チートか。いや、日々の努力か。
 今の内に、キープしとくと将来安泰だな。

 「……これってつまりは、桃子さんの意識改革のせいか!?」

 読むのに10分はかかったあの褒め言葉の意味はそこにあったのか……桃子さんのお手紙汚染攻撃……いや、外堀から埋めているだろう。両親や琴音さん達と友達らしいし。でもなんか可愛い娘みたいだし、仲良くはなりたいという願望はある。恋仲になれたら最高だね。
 
 手紙(メール)繋がりで、ちょっと昨日のメールの事を思い出したら、背筋がビクッと来たよ。恐ろしい。

 きっとあっちの学校の奴等がなんとかしてくれる。大丈夫だ、問題ない、よな……。
 しかし、迷っていても仕様が無い。あの人の処理は、あいつらに任せよう。頑張れ、みんな。死ぬなよ。

 ――思いだすのは、巨体。





 エレベーターには乗らず、階段を段飛ばしで降りる。いや、だってエレベーターにおばあちゃんが乗ってたんだもん。あと運動不足解消に、ちょっと貢献したくて。

 まあ、バイクで行くけどさ。

 免許を取ってから、早数ヶ月。俺の相棒のXJR400。フレームカラーの青さが眼に染みる。最高にクールだ。
 キーを差込み、エンジンをかける。さて、学校に行くか。


























エンジンを吹かす音。空を裂く音。何より、この風を全身に浴びるのは、気分が晴れ晴れする。朝の、あの思い出してしまったファットガールには申し訳ないが、忘れさせて頂こう。ぬっはっはっはっは!

「……学校、どこ……?」

いかん、完全に迷った。
















私、高町なのはは学校に向かっています。途中で、大親友のアリサちゃん、そして車椅子を押しているすずかちゃん、車椅子に乗っている変態ちゃんの5名で、和気藹々と歩を進めていました。
本当なら、あと1人、ティアちゃんがいるんだけど、今日は部活動の朝練だそうで、早くから行ってしまいました。
今日は、お母さんが話してたことが本当なら転校生が来るって。だから、なのはは、今大変楽しみなんです。

「ちょっと待てい」

ティアちゃんは、ティアナ・ランスターって名前。ティアちゃんのお兄さんは警官だった。けど4年前に殉職。その時から、うちでティアちゃんを引き取ることになった。
お兄ちゃんの恭也、通称恭ちゃんは何かとお世話になっていた。そして、お母さんは「辛いことがあったら、泣くの。それでね、いつか笑えるように、お兄さんに、ティアちゃんの可愛い笑顔を見せてあげてね」と、ティアちゃんを引き取った。
アリサちゃんはお金持ち。
すずかちゃんもお金持ち。
あと、おっぱいが大好きな、はやてちゃん。

「お願いやから、無視せんといて! 昨日のことやったら謝るから!」
 「もう、仕方ないなぁ」
「待ちなさい、なのは。あんたそれで何回騙されてるの。はやても少しくらいはその性欲(リビドー)を抑えなさい」
「くっ、もうちょっとやったのに……けど、堪忍してな、なのはちゃん。うち、一日一回大っきいおっぱい揉まな死んでまうんな」
「そ、そうだったの!? だから、ヴィータちゃんだけじゃダメなんだね……」
「そや。やから、今日も揉ましてな♬」
「はやてちゃんのために、なのはは協力するよ!」
「ほんと、漫才でもしてるのかしら、この2人は……」
「あはは……けど、いつまでも、こうしていられるのって、何だか楽しいね」
「? 何か、妙に気分が良さそうじゃない。何か良いことでもあったの?」
「忍野さん乙」
「いや、ちょっとね。小耳に挟んだっていうか、盗み聞きしちゃったっていうか……」
「何よ。優等生のすずかちゃんが、そんなに気になるってことは……」

「「ことは……?」」

「きっと、面白いことね!!」

ビシッ!

なんだか、その格好は様になっています。流石アリサちゃん。
けど、もしかしたらそのすずかちゃんが聞いたことって……

「うん、面白いことかな? 確か、私達のクラスの先生が話してたことだから……」

やっぱり、そうだ。

「うちのクラスに、て「転校生、でしょ?」なのはちゃん、知ってたの?」
「うん! 昨日ね、お母さんが話してたの!」
「へえ、けど、どうして桃子さんが?」
「確かね、その転校生のお父さんの妹さんがこっちに住んでるから、その人もこっちに引っ越してきて、で、その引っ越し祝いにウチのシュークリームを買っていったの!」
「とゆーことはさ、なのはちゃん。その転校生の写真とか見たことあるんか?」
「チラッとだけなの。お母さんが、明日のお楽しみって。あと一回見れたら絶対わかるのに……」

なんだか、ちょっと勿体無い気がします。けど、そっちの方が楽しみだからいいなの。あ、けど、煩い人はご遠慮したいかな……。

「って、男か女かもわかってないし……」
「ごめんねはやてちゃん。私はうちにクラスに来るってことしか知らなくて……」
「何を言っとんすずかちゃん! それだけで、オラ、ワクワクすっぞ!」
「はやてちゃん、確か、男の人だったよ」
「なんや……男かいな。女の子やったら出会いがしらにバストサイズを一瞬にして測るのに……」
「ねえはやて。もしかすると私達のサイズがばれてたりしてないわよね……?」

アリサちゃんがそう尋ねると、はやてちゃんは明後日の方向を向いた。そして、妙に達観した表情になって、

「どうせ、ウチなんて1番小さいんやよな……」

「「「ご、ごめんなさい……」」」

はやてちゃん曰く、1番、すずかちゃん。2番、アリサちゃん。で、なのはは3番だそうです。
た、確かに、2人のおっぱいは大きいです……。
 けど、はやてちゃんはなのはちゃんのおっぱいが一番柔らこうて、揉み心地がいいって言ってくれます。 

と、もうすぐ学校に着くところの交差点で、一台の青いバイクが止まっていた。
 フルフェイスのヘルメットを被っているので顔は見えない。上下は制服――ちょうど、ウチの男子制服――を着ていた。辺りを見回してキョロキョロしているのをみると、どうやら聖祥高校を探しているのだろう。
 けど、もう入学して1年。それなら未だに道をわからない人なんていないだろうし、それにバイクで通学する人なんていなかったと思う。なら、あれは誰なんだろう?

 「ねえ、アリサちゃん。あの人、聖祥の生徒さんみたいだけど……」
 「そうね。ヘルメット被ってるから顔はわからないけど、制服がそうだし」
 「まさか、ウチの制服を着たおっさんじゃないわよね」
 「いや、流石にアリサちゃん、それは酷いと思うよ……」

 けど、困った様子だ。聖祥高校はあと5分もしないうちに着く範囲だけど、土地勘が無い人ならわからないかもしれない。
 てゆーか、あの人、転校生じゃないかな?

 「すいません、何かお困りで?」
 「大丈夫だ、問題ない」
 「摂氏、それ死亡フラグや」
 「俺はドヤ顔しないから大丈夫」

 はやてちゃんが、いつの間にか近づいて、話かけていた。手に持った携帯端末を弄っているとこをみると、GPS機能でも利用しているのか。話しかけられたのにネタの応酬をしてる。
 
 「ところで、誰?」
 「ウチは聖祥高校2年の八神、言います」
 「私も聖祥高校2年の月村です」
 「お、聖祥高校? 俺ちょうどそこ行きたかったんだ。案内してくんない?」
 「ええですよ……ところで、君は転校生かいな?」
 「何でばれてるのかは深く考えないようにするが、その通りだ。同じクラスになれるかわからないが、顔は晒さないぞ。後のお楽しみだ」
 「ん。でもな、多分一緒のクラスやで」
 「……? なんでそんなことが言えるんだ……?」
 「君とは、運命を感じるんや……!」
 「貴方と合体したい……!」 
 「まだまだあんたには早いな、いや遅いで。あんたに足りないもの、それは!」

 「「情熱・思想・理念・頭脳・気品・優雅さ・勤勉さ!そしてなによりもォォォオオオオッ!!」」
 「速さが足りない、だったっけ?」

 「ナイスなんかよくわからんで、すずかちゃん、もっと気合を入れて。けど、あんたに足りへんものは別にある。それは――変態度や」
 「なにそれ……」
 「じゃあ私には寛容さ、かな」
 「なのはちゃんには魅力ってところか」
 「アリサちゃんは頭脳? けどそれはさっきあったよね」
 「あとは勇気ぐらいか……けど、発揮する相手は未だ不在や」
 「なんかのゲームのステータスか?」
 「まあ、そんな感じなんやろ」
 「気にしてたら駄目だよ」

 にゃ~、なんかあっち楽しそう……って、先行っちゃったし……結局顔、見れなかったな……

 「ほら、なのは。行くわよ」
 「ま、待ってよアリサちゃ~ん!」

 こうして、彼の顔を見ないまま、私達は学校へ着くのだった。




























 「……職員室、どこ?」 

 また迷った。くそぅ。とりあえず、先生探さないと……。
 さっきの八神さんと月村さんに駐輪場の場所を教えてもらい、バイクをおいてきた。そのときに、もう大丈夫だからって言って別れたんだが、どうしよう。

 「あの……」  

 もう迷わない! って決めたのに。てか、迷ってるとあのファッキンガールが来そうで恐ろしい。凄いよ、あれ。伝説級の生き物。夢の中に出てきてもおかしくないレベル。

 「あの!」
 「うお! って誰?」
 「その、困っていらっしゃったようで……ご迷惑でしたか?」
 「いや、そんなことはない。助かったよ。さっきも道に迷ってな……」
 「そうでしたか……もしかして、転校、してきたんですか?」
 「ああ。でも、どうしてわかったんだ?」
 「言伝に聞きまして。それで、どちらに?」
 「悪いな。職員室って、どこにあるんだ?」
 「それなら、あそこを曲がった先にありますよ」
 「サンキューな! そうだ、君、名前は?」

 「ランスターです。ティアナ・ランスター」

 「そっか、ありがとう。えっとランスターさん?」
 「……ふふっ……」
 「え、俺なんかおかしいこと言ったかな……」
 「あ、いえ。先輩なのに、1年生の私をさん付けなんて、と思いまして」
 「1年生だったのか。最近の高校生はなんか大人っぽいっていうか、進んでるな~。でもどうして俺が2年ってわかったんだ?」
 「学証が学年ごとに違うんですよ。1年生は赤。2年生は青。3年生は黄色って、別れてるんです」
 「へぇ。だからこれ、青色なのか」 
  
 胸の辺りに付けられている学証を見る。これにはそんな意味があったのか。

 「じゃあ、ランスター。サンキューな。また会ったときは、その時はよろしくな!」
 「はい……ところで、お名前は?」

 「――夢見渚沙だ。好きに呼んでくれ」
 「わかりました。では、さようなら。夢見先輩」
 「おう、またな」

 タッタッタッ……

 「夢見……先輩ね……桃子さんが言ってた人って……」
 「ティア~! ねえねえねえ! 誰と話してたの!? もしかして恋人さん!?」
 「ち、ちがうわよバカスバル!!」
 「あはは~、顔真っ赤だよ~!」

 

































 「君が、夢見君ね?」

 どうやらこの人が俺の行くクラスの担任の鳥海先生。どこかの学校に姉がいるとかなんとか。姉妹ともに未婚という生き遅れの残念な人らしい。
 
 「君、バイクで通学してきたみたいね……一応、校則的には、ギリギリ大丈夫なんだけど……事故だけには気をつけてね。私の監督不届きになるんだから」
 「ういーす」
 「はい、ときちんと言いなさい」 
 「ういーす」

 出会って早数秒で拳骨を喰らった俺は、きっとギネスに載れる気がする。
 そんなこんなで。 
 先生にドナドナされて、教室に連れられていく。2年の1組。さっき会った八神さんや月村さんはいるのだろうか。後ろに控えていた2人は誰だかは知らないが、一緒なのだろうか。例の高町なのはちゃんはいるのだろうか。出来れば仲良くはなりたい。

 「それじゃ、あなたはここで待っていて。準備が出来たら、私が呼ぶから」
 「ういーす」
 
 そう言って、教室に入っていった。
 中から鳥海先生の声が聞こえる。

 『ほら、静かにしなさい。HR始めるわよ。バニングスさん、よろしくね』
 『はい。起立、礼』
 『おはよーございます』
 『着席』
 『さて、今日はお知らせを持ってきたわよ。なんと、転校生が来るのよ!』
 『せんせー! 野郎ですか、それとも女の子ですか!?』
 『残念だけど男よ』
 『格好良いですか!?』
 『割とね』
 『やったー!』
 
 何を言ってるんだか。俺は割りと普通の男子高校生だぜ? 前の学校でも彼女は、1人、2人くらいしか出来なかったし、あの巨人のせい、と言っちゃそれもあるかもしれんが、そこまで格好良いわけではない。

 『それじゃ、入ってきなさーい』
 「じゃ、入りますか……」

 親の都合で何回か転校を繰り返していたが、どうにもこの緊張感と新しい出会いの高揚感だけはいつもある。少しばかり、仲の良い友達は出来なくて半分あきらめていた気があるが、今回は1人暮らしを始めるにあたってこの学校には長い事世話になる。出来れば仲の良い友達を作りたいし、彼女だってほしい。
 これは、新しい世界の扉だって言い変えてもいいだろう。
 全てが一新される。
 高揚感と緊張感で、心臓はバックバク。
 さて。 
 じゃあ、扉を開けよう。













 「――高校から転校してきました。夢見渚沙です。女みたいな名前ですが、列記とした男です。女装癖もないから。得意なことは料理とか、運動も割りとします。では、よろしくお願いします」
 
 クラスの人を全員見渡せ注目を浴びる位置、つまりはホワイトボード(前の学校は黒板だったな。あのチョークの粉はうざかった)の前に立つ。

 『中々格好良いね』
 『ちょっとミステリアスって言うか、クールっていうか』
 『そうそう、そんな感じ』
 『あ、さっきのバイク少年や。転校生って言ってたし』
 『良かったね、はやてちゃん』
 『む、なんやその笑いは』
 『ふふ、なんでもないよ』
 『なのは、あれが桃子さんの言っていた人?』
 『多分。苗字が一緒だし……』

 「ほらほら静かにしなさい。それじゃあ、夢見君、八神さんの後ろの席が空いてるわね。そこに行きなさい」
 『先生ー、そこ高宮の席でござるよー』
 「いない方が悪いの。ほらちゃっちゃと行った!」

 先生に押され、八神さんの後ろの席に行く。八神さんの隣には月村さんが座っていた。

 「また会ったな、夢見君! よろしゅうな!」
 「よろしくね、夢見君」
 「よろしく、八神さん、月村さん」
  
 2人に軽い挨拶をして、席に座る。すると、隣の男子生徒が声をかけてきた。

 「初めましてでござる、上原喜助と申す。よろしく頼むでござる、夢見殿。主に勉強関連で」
 「あ、ああ。よろしく、上原」
 「しかし、夢見殿、八神嬢と月村嬢とは、一体どこで知り合ったのでござるか?」
 「朝、会ったんだ。道がわかんなくてな。そのときに案内してもらったんだ」
 「そや。ゆめみんは中々話のわかる人やった。ウチのネタのボキャブラリと同等やったし」
 「……お前が下だ、ポルナレフ!」
 「そこだ、シルバーチャリオッツ!」
 「何と息の合ったコンビネーション。某、感服致したでござる」
 「本当に、会って数分なの、はやてちゃん?」
 「実は、前世の恋人やったんや」
  
 ゆめみんって何さ。
 こんなにも転校早々話の弾む奴はそうはいなかったな。八神さんは可愛いし、月村さんも美人だ。これは嬉しい。男子高校生はこういう可愛い娘とか美人には弱いのだ。
 しかしこの上原。歴史とか絶対得意そうだな。特に戦国時代とか。別段、歴史は嫌いではないが、得意というわけでもない。テスト期間などになったときは、お世話になろう。

 「そこ、話したいことがあるのなら後にしなさい。とりあえず、これで1時間目は終わり。次の時間、私が担当の理科だけれど、どうせ授業にならないわね。よし、転校生への質問の時間とします。以上、バニングスさん、よろしくね」
 『はい、起立、礼』
 『ありがとうございましたー』
 「ましたー……」

 先生が教室を出て行った瞬間。ぶわっと、人が来る。

 『趣味はー!?』
 『好きなお菓子はー!?』
 『好きなタイプはー!?』
 『スポーツは何が得意だ!?』
 『前に彼女いた!?』
 『八神さんとはどんな関係なんだ!?』
 『我が筋肉部に入らんか!?』
 『向こうの学校はどんなだった!?』
 『勉強は得意か!?』
 『メアド教えて!』
 『電話番号教えて!』
 『やっと……見つけた……』
 『某も混ぜるでござるよ~』
 
 
 ちょっとだけ待ってほしい。色んな意味で。

 「ほらほら、転校生君が混乱してるじゃない。1人ずつ並んで言いなさい」
 『ごめんね、夢見君……』
 「いや、いいよ。ありがとう、バニングスさん」
 「いいわよ、一々お礼なんて。当然のことよ」
 「……バニングスさんは、いいやつなんだな」
 「べ、別に、普通のことをしただけよ! そう、これは、普通のことよ」
 
 なんだか照れているようだ。
 はてさて、この質問ラッシュを乗り越え八神さんに少し質問をしてみる。

 「八神さん、高町なのはって娘、知らない?」
 「むっ? そやな、知っとるで」
 「それならどの娘か教えてほしいだけど」
 「ええけど、さん付けは無しや。何か背中がムズムズする」
 「了解。八神」
 「うむ、それでよろしい。で、ゆめみんやなんでまた、なのはちゃんを? 転校してきたばっかやのに、知っとるって……まさか、ストーカー?」
 「失礼だよ、はやてちゃん」
 「なんやすずかちゃん~、冗談やって、じょ・う・だ・ん。朝方なのはちゃんが桃子さんからゆめみんのこと聞いたってことは、ゆめみんもなのはちゃんのこと知っとるってことやろ」
 「桃子さん、だったけ? その人の手紙が入ってたんだ。読むのに15分くらいかかった」
 「なが!? なんやその手紙、桃子さん一体何を書いたんや……」
 「そのなのはって娘のことがたくさんね。総じて可愛いということは、これでもか、というほど伝わってきた」
 「ふむぅ……ではこれから夢見殿は高町嬢を篭絡しようとするのでござるな?」
 「人聞きの悪い事を……って上原いつの間に……」
 「ずっといたでござる。忍者を目指しているでござるから、隠密行動の一環でござるよ」
 「そういうもんなのか」
 「そういうもんなのでござるよ」

 話が逸れてしまった。八神に頼み高町さんを呼んでもらう。 
 栗毛色のツインテールに、夜空を映したような蒼い瞳、小動物を連想させる可憐さを持ち合わせた少女。
 会ったことは多分ない桃子さんによってもたらされた情報とは殆ど大差は無かった。超絶美少女、というわけではないけれど、上の中というぐらいか。前の学校なら、男子共は奴隷にすらなっただろう。

 「君が、高町さん?」
 「はい、高町なのはです。お母さんから話は少しだけ聞いてるよ、よろしくね。あと、さん、は付けなくていいよ」
 「了解、よろしく。今日はちょっと忙しいから翠屋には行けないけど、シュークリーム美味しかったです。今度買いに行きます、って伝えておいてくれるかな?」
 「うん! お母さんもきっと喜ぶと思うよ!」

 それにしても、えらく真っ直ぐで純情な人だ。まさかとは思うが、未だにコウノトリが赤ちゃんを運んでくる、ということを信じていそう。流石にそれだったら、俺は驚く。

 「ところで、さ」
 「何かな?」
 「未だにシャンプーハットを使わないと髪を洗えないって聞いたんだけど……」
 「にゃ!?」
 『ぶふっ!』
 「そして、お気に入りのヌイグルミがないと夜も眠れない、とも聞いたんだけど……本当?」
 
 正確には、見た、という表現だが。

 「どうしてそれを……! なのはのトップシークレットなのに……もしかして、昨日のりのりでお母さんが手紙書いてたのって、もしかして夢見君宛てだったの!?」
 「他にも、昔はモガモガモガ」
 「それ以上は言っちゃダメー!」
 『なのは(ちゃん)……可愛過ぎるよ……』

 口を押さえられ、何も喋れなくなった。興奮しているのか、高町さんは俺の顔の真ん前まで近づいてきている。蒼い瞳に小さな自分が映っているのが見えた。

 「なのはの恥ずかしい過去はおいといて、改めて自己紹介をするわ。私はアリサ・バニングスよ。バーニングなんて呼ばないでね。よろしく」
 「ああ、わかったバニングスさん。よろしくな」
 「さんは、いらないわよ」
 「りょ、了解……」

 横で、はやてが『そこは言わなあかんやろう……』とか言ってるが、このバニングス、という人間は恐らく、いやきっと、この4人の中で最もヒエラルキーが高いだろう。それならば怒らせないのが得策だ。少しばかりこのバニングスを観察してみたが、『THE・お嬢様』って感じだ。金髪、ボイン、セクシーの3つが合いそうだな。

 「さっきもしたけど、下の名前は言って無かったよね。私は月村すずか。なのはちゃんとは一応姉妹になるのかな?」
 「そうなのか。へえ」
 「なのはちゃんのお兄さんと、私のお姉ちゃんが去年に結婚してね。それで」
 「どっちが姉になるんだ……って月村さんに決まってるか」
 「にゃ!? どうしてそうなるの!?」

 「とりあえず、姉がヌイグルミを抱かないと眠れないとかだと、嫌だろう」
 
 「うう……すずかちゃん、夢見君って結構酷いの……」
 「事実だからどうしようもないよ、なのはちゃん」
 「…………(ズーン)」
 「月村さん、よろしく」
 「少しは学習しようね、夢見君? さん付けはいいよ」
 「……は、はい。月村……様(ボソッ)」

 訂正。すまなかったバニングス。ヒエラルキーの頂点に座するのは、この方でした。

 「よろしくね」

 一瞬、重力が強くなった気がしたが、気のせいだ、絶対。

 「で、うちは八神はやて! よろしゅうな~」
 「ああ、よろしく八神」






 そんなこんなで、1時間目が終わった。2時間目からは普通の授業となるが、まだ教科書は準備されていなかったらしく、上原に見せてもらっていた。内容は数学。何か変な先生だった。よく答え間違うし。そのくせ天文学的数値を暗算させようとするし……バニングス、月村、高町が、それを出来ていたのに俺は驚愕した。
 休み時間になると上原は空腹で唸っていた。何やら事情を聞くと朝ご飯を食べる時間がなかったそうだ。仕方ないので早弁をするらしいが、俺はこの時に重大なことに気づいた。

 「弁当、作ってない」

 1人暮らし、まあ前の学校でも両親は殆ど家におらず、俺が3食全てを準備していた。だから朝は早く起きないといけないので、自然とその習慣が身についてはいたが、どうやら朝ご飯が用意されている、という珍しい事態だったせいか、昼ご飯の事はスポーンと頭から抜けていた。

 どうしようか。

 生憎と今は持ち合わせがない。昨日、琴音さんに『シュークリームを買ってきてやった。ほしければジュースを奢れ』とか言われて奢ったはいいものの、休憩所に着く度に要求され今は500円にも満たない額だ。だからあの人には恋人は出来やしないんだ。がめつい。どっか行き遅れの人でも探せ。

 知り合ったばかりの上原に金を借りるのもどうかと思う。なにせ未だなんの信頼関係を築いていないのだから。八神は八神で色々と仲が良いような気がするが、女子に金を借りる男というのは、何とも見っともない。
 よって、今日の昼ご飯は抜き、という脳内会議の結果になったのだが……。

 「はい、結構自信作なんやで、それ!」 
 「これお母さんと一緒につくってみたの。良かったら食べてね」
 
 屋上にて、4人組+忍者もどきと何故か食事中。

 「モテモテでござるな、夢見殿」
 「きっとお前のせいだろう。お前があの4人言ったんだろう」
 「そうでござるが……何か不都合でも……?」
 「ないんだが……あんまりさ、その迷惑になるっていうか、さ。今日会ったばかりなんだし」
 「ふむ……心配せんでいいでござるよ。この学校、いや海鳴に住む人達は皆優しいでござる。無論、某もでござるが」
 「けどな~、なんかな~」

 「もう! ずべこべ言わずにありがたく貰いなさい! あんた料理が得意って言ってたわね、なら今度私達のお弁当を用意しなさい! それで貸し借りは一切なし! どう、これでも不満!」
 「め、滅相もございません……」

 業の煮え切らない俺に、怒りの沸点が限界を通り越したのかバニングスの一喝。正しくその様はバーニングであった。
 
 「4人分……自分のも入れて5人分か……」
 「拙者の分は!? 拙者の分は無いのでござるか!?」
 「一人称変わってるぞ」

 この舌の肥えた(理由としては高町は喫茶店の娘だからというのと、さっきの弁当がむちゃくちゃ美味しかったから。これは八神にも言えることだ。そしてバニングスと月村はお嬢様だから。なんか雰囲気からいって凄いし、弁当のおかずも俺の見たこと無い料理であった)4人方を満足させられる料理など、俺は作れるのか。
 寂しすぎて小学校の運動会の日は1人で重箱を作りそして自棄食いをし、のちに吐くという快挙を成し遂げたが、それは良くも悪くも子供だったから、という理由だが、あのときのような気力を呼び起こすしかないだろう。

 「頑張る、しかないよな」

 作るのはいいが、バイクから落さないようにしよう。
 そう心に誓い、ありがたく4人方から弁当を貰った。

















 現在のステータス 魅力:1→2 頭脳:1→2 寛容さ:1→2 変態度:1→2 勇気:1

 彼女がいた、という事実→魅力が1UP
 クールという評価→頭脳が1UP
 聖徳太子状態でも怒らなかった→寛容さが1UP
 はやてとの会話→変態度が1UP

 ※注意:はやてとの会話は直接変態度に響きます。回避は可能。
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